日本における資本主義社会の歪み


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産業構造の変化


 バブル崩壊以前、これまでもふれてきたように、日本では高度経済成長期が続きました。日本においては一産業30年説、もしくは企業30年説などが提唱され、新たな産業やその中で成長する企業は、おおよそ30年のスパンにおいて繁栄と衰退を繰り返すとされていました。
 このため企業では、人員を確保し母体を大きくしつつ、関連産業への展開を図ることで生き残りを模索するという構図が一般化していました。
 しかし昨今では、そもそも物を多量にさばくこと自体困難です。製品やサービスに対するニーズが特化し、大量に売りさばけるものはごく一部であり、企業は短いサイクルで商品開発を繰り返す必要があります。
 また、起業からわずか10年で上場を果たす企業が出現する一方で、業界のトレンドを担うような大手が、いとも簡単に倒産することさえあります。つまり、長期的ビジョンによる企業運営計画が建てにくい時代となり、産業自体も、急成長するものもあれば、急速に衰えるものもあるなど、不透明性が増してきているわけです。

バブル経済崩壊以降の資本主義社会の歪み


 不透明性が増す状況において、企業は容易に社員を増やしていくことができません。大所帯にしたものの売上が急速に減少してしまえば、大きなリスクを抱えることとなるはずだからです。
 よって企業では、労働力を容易に増加減させることのできる糊代を作る必要が生じます。売れているときだけ、売れる部分だけ、限定して労働力を増員できる仕組みが必要となったわけです。
 政府の政策はこれを後押ししました。つまり非正規労働者採用枠の緩和です。非正規労働者であれば、一時的な労働力の増加減を自由に行うことができるうえ、労働組合の力が及ぶ範囲も限られることから、比較的安価な賃金で人を雇用することができるようになります。
 正規労働者の採用枠を必要最低限に抑えつつ、企業運営のコアとなる部分を優秀な人材で固めたなら、それ以外の作業を非正規労働者やアウトソースに任せることで、売上を上げるモデルが一般化してきたわけです。
 多くの企業において同様の策を講じると、就職事情にも大きな影響を与えることになります。
 昨今大学への進学率が高まる一方で、採用枠が少なくなるわけですから、就職活動が激化するのは当然といえば当然のことです。
 一方で、特化した職種においては、深刻な人材不足も発生します。長期的なビジョンでの運営ができない中で、特需や突出した部分的な産業拡大が発生した場合、企業はそれに対応する人材を持ちえていないため、多くの企業が同様の人材を確保しよう走ります。このことから、部分的に人が足りず、特定職種のみの一時的な人件費高騰が引き起こされるわけです。

デフレーションの発生要因


 さらに、大企業の内部留保も社会問題化し始めることになります。ひとつの産業が長期に渡って継続するかを見切れない以上、企業は前向きな設備投資ができません。
 人件費を始めとして、なるべく経費を削減しようと動く一方で、利益として得た資金を溜め込むことで、運営のための体力を温存しようと考えるようになります。つまり、得たお金を再投資することなく、溜め込む動きが加速するわけです。
 ちなみに資本金10億以上の大企業が保有する内部保留は、年々増加傾向にあり、実に300兆円に近い額が積み増しとなっています。
 これまでにも述べてきていますが、資本主義社会は、お金が循環することが、繁栄を続ける条件となっています。資本の運動が社会のあらゆる基本原理となり、利潤や余剰価値を生む体制であるからです。
 ところが企業が内部留保の積み増しを行えば、その分のお金は循環することがありません。一部は金融機関を介して循環しますが、内部留保を積み増す企業が、金融機関から多額のお金を借りて設備投資にまわすことはありません。つまり、お金の停留が発生し、循環が阻害されるわけです。
 さて、不透明性が増す中で、私たち個人もまた、お金の循環を阻害する動きへと出始めることになります。突出した利益を上げることに成功した富裕層においても、同様にお金を貯める傾向は波及します。17%のお金の多くが、消費として回らず循環市場から消えます。
 富裕層であっても支出を抑えるわけですから、一般家庭における消費制限は、さらに厳しいものとなるはずです。先が見えない世の中においては、どうしても消費を減らし、少しでも貯蓄を増やそうとすることでしょう。
 給与額が年々減少したり、非正規労働者として不安定な生活を強いられる状況下において、多額の借金をして消費にまわせば、後にどの様な事態を招くかは誰にも予想がつきます。なるべくお金をつかわず、質素に暮らし、そしてできうる限りの貯蓄をしようと考えるのは、当然のことであり、本サイトにおいてもそのような流れを推奨しているのは、むしろ正しい流れといえます。
 ただし、全国民が消費を制限すれば、それはそのまま消費の低迷を起こすことになります。こんな際の商品価格上昇は致命的な売上不振を招きます。よって価格は徐々に低下することになります。すると収益率は下落し給与も下がりまず。
 給与が下がれば消費を制限します。貯蓄の必要性も増すことから、流通すべきお金はさらに少なくなることでしょう。
 要因は他にも複雑に絡みますが、こうしてデフレーションが発生します。

デフレに対する政府の対応


 デフレは、商品価格が安く抑えられることから、消費者にとってはありがたいといえるでしょう。しかし同時に、自分の首を締め上げることにもなります。資本経済において、お金は常に循環しなければならず、循環が著しく制限されれば、各所で貧血状態が起こり、さまざまな問題が発生するからです。
 では、このデフレを解消する手立てはあるでしょうか。
 繰り返し申し上げますが、資本経済においては、お金が循環する必要があります。しかし企業がお金を留保し、富裕層をはじめとして、個人が貯蓄を率先して行うことで、お金の循環効率は低下します。
 しかしだからと、政府が強制的に法人の設備投資額や個人の消費を引き上げることはできるでしょうか。間接的な施策は取れますが、直接的な指示は困難です。なぜなら、資本主義社会には、自由が根底に存在するからです。
 市場原理において政府の介入は意味を持ちません。本来は、需要と供給により市場価格の決定がなされるものだからです。
 しかし実は、政府主導の効果的なデフレ対策は存在します。公共投資事業の拡充です。
 公共投資比率を引き上げ、事業の発注を介して、お金を供給することで、事業を受注した企業やその関連企業、子会社などを潤します。これらの企業で働く人々へと給料の形でお金が流れます。そして、需要が高まれば関連企業から人材が不足することから、給与水準が上がり始めます。すると徐々に税収が上がり始めることとなります。政府は税収において投資分を回収すればよいわけです。
 ところが公共投資額は、平成10年をピークに年々減少を続けています。財政支出を抑え、なるべくお金を使わない政策を取り続けています。
 さて、個人が消費を抑え、企業が内部留保を積み上げ、そして政府が財政支出を抑え続けた場合、市場はその後どのように推移するでしょうか。
 これに追い討ちをかけたのが消費税増税です。増税前夜まで、日本は駆け込み需要に沸きましたが、その後の売上は激減しています。消費税による税負担額は、年収400万円の平均的な給与過程において、おおよそ9万円近くにもなります。このような負担が無条件に増え、しかも給与水準に変化がないとなれば、消費動向はさらに下を向くことでしょう。
 このような方法において、デフレーションからの健全な脱出は難しいといえそうです。また、資金の円滑な循環環境を作らぬまま、無理にインフレ誘導をするならば、極めて不健全な価格上昇を引き起こすことさえあります。スタグフレーションのリスクです。
 スタグフレーションとは、停滞(stagnation)とインフレーション(inflation)の合成語であり、経済活動の停滞、つまり不況と物価の持続的な上昇が共存する状態を指します。
 日本においてスタグフレーションは、オイルショックの際にこれまで戦後に2度、経験をしています。もともと為替や輸出入が絡むことで発生する現象ではありますが、不健全な税の徴収、さらにはそのお金を循環させない施策においては、これに近い状況を招くリスクはゼロではないのです。

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